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イノシシの痕跡を確認する研修の参加者=2024年5月22日午後2時28分、佐賀県武雄市、岡田将平撮影
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 畜産王国・九州に脅威が忍び寄っている。まだ国内での感染例はないが、アジア全域に拡大中の伝染病「アフリカ豚熱」。これまでも家畜の伝染病被害を受けてきた各県は、危機感を強め、対策に力を入れている。(岡田将平)

イノシシの痕跡、学ぶ理由は

 5月、佐賀県武雄市の山林に、九州各県の畜産部門担当の職員ら約60人が集まった。野生イノシシのアフリカ豚熱感染に向けた研修だ。

 「掘り起こしの跡が確認できます」「体をこすりつけた跡です」。イノシシの専門家である農業・食品産業技術総合研究機構上級研究員の平田滋樹さんが示した。

 もし、イノシシのアフリカ豚熱感染が確認されれば、拡大を防ぐため、死体を早く見つけ、処理する必要がある。その手がかりとなるイノシシの痕跡を学んでいた。

 アフリカ豚熱は既に国内で確認されている豚熱と似ているものの、病原性は強く豚やイノシシが感染すると致死率はほぼ100%とされる。豚熱と違って国内で有効なワクチンはない。

 ウイルスは人や動物、食材な…

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